奇蟲図鑑

ギガスオオアリ 世界最大級の魅力

Dinomyrmex gigas ( 旧 Camponotus gigas ) 女王

ギガスオオアリは東南アジアの低地部の森林から低山にかけて棲息する超大型のアリだ。
現存するアリの中でも最も大きい部類で、通常の働きアリで20mm、兵アリでは30mm近い大きさである。

2017年8月、私はギガスオオアリを求めてマレーシアの森をあてどなく歩き回っていた。
しかし探し方がわからず、あきらめて車に乗り、宿へと引き返すこととなる。
運転している車の中から、この兵アリが見えたときは驚きを通り越して、ただ叫んだ。
そんな思いで深いアリなのである。

動画のサムネイルが、よく見かけるサイズの働きアリ。

そして兵アリである。
普通の働きアリはそれなりに簡単に見つけることが出来るが
兵アリは巣の近くなど、ある程度数が揃う場所の方が観察が容易だ。

兵アリは驚愕のサイズ!

強靭な大顎に加えて、大量の蟻酸を噴出する。
これは吸い込むと酷くむせる。

基本的に大人しく、人を積極的に襲うようなアリではないが、十分に注意が必要だ。
いざという時には遺憾なくその防御力を発揮してくる。

巣は自然下では巨木の雨露などに作られる。
細かな繊維質と泥の混ざったような巣の入り口が見えるだろう。



飼育下では初期ワーカーを見ることが出来る。
とても小さく(それでも大きいのだが!)頼りない印象だ。
野外では全く見たことがないので、これは飼育下ならではの姿と言える。

他のアリ同様に、結婚飛行を行う。
女王は交尾後に羽を落とす。


産卵後は女王が世話を行う。凶悪そうな大顎だが、丁寧に卵を管理している。

繭もかなり大きく、迫力がある。

そんな女王であるが、卵を食べてしまう場合が多い。
あまり気にし過ぎて触ったり、撮影を行うとよくない場合がある。

また、巣内は比較的涼しいとされており、飼育温度は24℃を理想とする。
25℃を超えると調子を崩し、26℃では亡くなるケースが多くなる。
エアコンで室温を一定に保てる方向けだ。

本当に女王を生で見て頂きたい。本当に壮観で驚きに満ちている。
アリを飼うという枠を飛び越えて、世界の大きさを知る不思議な体験があなたを待つだろう。

ギガスオオアリは強靭な大顎と大量の蟻酸という武器を持っている。
これは捕食者にとって厄介であろう。

そんなギガスオオアリの周りには、ギガスオオアリを騙る存在がいる。
擬態することで恩恵を受けられる可能性がある。

こちらが働きアリ。

おや……?
これはアリ食性のホウシグモの一種。
カラーリングがかなり似通っている。

さらにギガスオオアリに近い体色のハネナシハンミョウ。
どんな意味があるのかわからないが、ギガスオオアリの沢山いるところで見つかる。

ギガスオオアリを中心とした擬態も垣間見える。
熱帯を代表する素晴らしいアリなのだ。