ゴキブリの飼育方法

・ゴキブリの飼育

ケース

ケースは市販の昆虫飼育ケースを使用できます。ただ、プラスチック面を登ることができる種類は脱走のリスクが高まるので、ケース上部に炭酸カルシウムをエタノールで溶いたものを塗布し、乾燥させることでそれより上に登ってくるのを防ぐことができます。白色ワセリンでも代用可能です。炭酸カルシウム・白色ワセリンは薬局での注文やネットで購入が可能です。また、ケース本体と蓋の間に不織布を挟むことで蓋の網目からの脱走リスクを低減することができます。米びつなど気密性のあるケースの蓋を切り取って網戸の取り替えネットを接着剤でくっつけるなどの加工を行い、自分でケースを作るのも一つの手段です。

エサ

ゴキブリは雑食性の昆虫で、野外で非常に多くのものを摂食しています。そのため、飼育下でも野菜、キノコ、昆虫ゼリー、ハチミツ、カメ・ウサギ・マウス用人工飼料など様々なものを飼料として使用することができます。私は昆虫ゼリーと乾燥状態の人工飼料(カメとマウス用)を使用しています。ゴキブリは単一のエサばかり与えると食べ飽きを起こすことが知られているため、一種類のエサをずっと与えるのではなく、複数のエサをローテーションで与えるとよいでしょう。与える量は2~3日で食べきる量を目安にするとちょうどいいです。食べ残しにはダニやカビが発生するので、できるだけ残らない量を与え、残ってしまった場合はこまめに取り除いてください。

温度

ゴキブリは一部の種を除いて、温暖な環境を好みます。そのため、多くの種で20度以上の環境が必要です。日本において、夏は無加温でも飼育できますが、冬は加温が必須となります。飼育している種数・ケース数に応じて、個別加温もしくは飼育部屋全体の加温を行います。おすすめはエアコンでの一括管理です。複数のケースを維持しているとエアコンの方が経済的な場合もあります。ただ、冬場は乾燥するので、ケース内の水分量をこまめに確認するようにしましょう。

湿度

適切な湿度は種によって違います。乾燥環境で飼育したほうがうまく行く種もあれば、常に湿った場所が無いとすぐに死亡してしまう種もいるので、飼育の際はそのゴキブリがどのような湿度を好むか知ることが重要です。湿度の調整は湿らせたミズゴケを入れることや定期的な霧吹きで行います。

置く場所

直射日光・雨の当たらない屋内が適しています。エアコンで温度管理をしている方はエアコンの風が当たる場所も避けたほうがいいでしょう。棚などの高所に置く場合は、落下防止対策も行ってください。

心構え

どの生き物を飼育する際も言えることですが、一度飼育下に置いた生き物は最後まで責任を持って飼育しましょう。飼育を開始する前に最後まで変えるか考えるのはもちろんのこと、どうしても飼育が難しくなった場合、相談に乗ってくれる方がいるかどうかも考えておくといいでしょう。

また、逃げ出さないように管理するのも飼育者の責任です。近年、千葉県にてアルゼンチンモリゴキブリBlaptica dubiaの定着が確認されており(Kato & Yamasako 2021)、トルキスタンゴキブリPeriplaneta lateralisも数地点で確認されています。日本の野外で定着できるポテンシャルを持ったゴキブリは多く、新たな外来種を産み出さないためにも脱走防止対策は十分すぎるほどに行ってください。

引用文献

・Kato T & Yamasako J, 2021. First field record of an introduced pet-feeder cockroach, Blaptica dubia (Serville, 1838) (Blattidae, Blaberinae), in a temperate zone of Japan. Entomological Science, 24(1): 76–78.