ベネズエラブラックジャイアントセンチピード

Scolopendra gigantea 
種小名の通りの圧倒的な大きさ、存在感です!


ギガンティアブラックモルフ、黒ペルビ(※1)などの名前でも呼ばれる世界最大のオオムカデ。
オオムカデとして世界最大であるばかりか、陸上の無脊椎捕食動物としても最大です。
蟲の王といって差し支えないでしょう。

あまりの体格に惚れ惚れ。

触角は根本側が灰青を呈し、先端に向かうにつれ銅色の微細な毛が飾ります。
歩肢は黄色、黒、赤の縞が入り、曳航肢は伸長します。

アジアのオオムカデと比べると、棘が多いことが特徴で、歩肢の前腿節、腿節や曳航肢の前腿節に多くの棘をそなえます。これも迫力の要素になっているでしょう。

幼体の頃は、歩肢や曳航肢に縞模様が入りません。

3回ほどの脱皮を経てから、少しずつ縞模様が入り、圧巻の姿へと変貌します。

類似種

Scolopendra galapagoensis と類似していますが、産地と形態が異なります。

Scolopendra gigantea の棲息地はコロンビア北部、ベネズエラ、トリニダード、マルガリータ島、キュラソー島、アルバ島です。
Scolopendra galapagoensis はココス島、ガラパゴス諸島、南アメリカの太平洋沿岸、およびエクアドルからペルー南部までのアンデス西部の斜面に棲息しているとされます。

形態では大きな違いが2つあります。

1:触角
Scolopendra gigantea は、まばらに毛の生えた触角節 (※2) が 根元から7-10節、
Scolopendra galapagoensis は まばらに毛の生えた触角節が 根元から4-7節です。

2:腿節の棘
Scolopendra gigantea は腿節に棘がある歩肢を多数そなえ、
Scolopendra galapagoensis は 腿節に棘があるのは第1歩肢のみです。

参考
学名:Solopendra gigantea
最大全長:40cm
温度:26-28℃前後
湿度:高湿度
棲息環境:地中-地表
成長速度:1年で性成熟(成虫)


(※1)黒ペルビは、「黒いペルビアンホワイトレッグ」「黒いペルビアンジャイアントオオムカデ」という意味で、呼称されていますが、ペルーにScolopendra gigantea は棲息しておらず、さらにベネズエラジャイアントの名前の通り、本種はベネズエラから輸入されているため、黒ペルビという呼ばれ方は不適切です。

(※2) 一見すると触角の根本側の節は無毛に見えますが、拡大撮影するとまばらに生えています。海外サイトでも根元が無毛、先端が有毛と誤った書き方をしていることがありますのでご注意ください。

根本側のまばらに毛の生えた触角節
先端側の高密度な毛の生えた触角節

触角の超拡大写真はペルビアンホワイトレッグ

参照:
R. M. Shelley&S. B. Kiser(2000)  Neotype designation and a diagnostic account for the centipede, Scolopendra gigantea L. 1758, with an account of S. galapagoensis Bollman 1889 (Chilopoda Scolopendromorpha Scolopendridae) Tropical Zoology,13:1, 159-170