ムカデ飼育 保温/保冷

結論から申し上げますと、エアコン一括管理が理想です。

この方法ですと、蒸れが少なく、また通年同じような環境を作り出すことが出来ます。


そんなに数は飼っていないんだよな、という方にお勧めなのは、パネルヒーターを用いる方法です。

パネルヒーターは一般に底面1/3~1/2を占める程度に設置いたしますが、ムカデは多湿環境で飼育するのが一般的。

あっという間に蒸れて亡くなってしまう場合がございます。


春先、秋口など気温がそれなりに高い場合には、側面に貼り付ける方法が

より安全と言えるでしょう。


内部が結露するようならば黄色信号。

今一度、パネルヒーターの設置状況、及び通気を見直された方が良いかと思われます。


熱帯に多く棲息する割に、暑さにも弱いのがムカデです。

これは熱帯雨林は案外涼しいというところに起因すると思われます。

植物の蒸散や、夜間の放射冷却によって熱帯雨林は想像以上に冷えています。

特に夏季はエアコンが必須になります。

現状、小型でケージを一定に冷却する装置はありませんから、夏場は素直にエアコンを利用するべきです。

もしくはワインセラーなど、一定温度で冷やせる装置が必要です。


ワインセラーの場合、前面がガラス張りの物も多く、中の様子が少しわかるというのもメリットです。

通気の問題は完全には解決されないため、クーラーには一歩劣りますが、それでも有効な手段です。


これらの道具が用意出来ない場合は、外国産の飼育はおススメ出来ません。

これは遠い異国の地からはるばる来ている彼らへの最低限の敬意と言えるかもしれません。

また、現地採集者の並々ならぬ努力や、それを取りまとめているシッパー、また会社、関連業の方々を含めれば、数えればキリがないほどの方々の手を通じて、我々はムカデを飼育させて頂いております。

せっかく手元に来たムカデですから、大切に飼育したいものです。

クーラーひとつにどこまで話を広げているのだと言われてしまいそうですが、私は奇蟲の撮影のために各国を回っており

その大変さを知ってしまったのであえて記述させていただきました。

さて、適切な温度管理をするには「置き場所」も重要になります。

窓際などは非常に過酷な環境で、温度の上昇、下降が激しく、

日光も射し込むため避けるのが無難です。

また部屋の奥であっても油断はできません。季節によっては西日等が入り、ケージ内の温度が急上昇している場合がございます。

特に暑さに関しては数時間での死亡を招く場合がございますので、今一度そういったことがないか確認されることをお勧めいたします。

デジタル温度計の中には、ログ機能が付いており、その日の最高最低温度などを、後から把握できるものもございますから、もしその部屋で初めて飼育する場合でしたら、一度計測されることを推奨いたします。