チャバネゴキブリ

学名:Blattella germanica
分布:全世界
体長:約10~12mm
産卵様式:卵生
ガラス・プラスチック面垂直歩行:歩行できる

解説

 飲食店や熱帯魚店など、一年を通して温暖な環境に定着するゴキブリです。クロゴキブリと名前を混同されてしまうことが多いですが、体長も色彩も大きく違います。本種は全体が橙色で、前胸背板には2本の黒条を持ちます(黒条を持たない個体も確認されています)。
 日本だけでも類似した種は多いですが、交尾器や腹部第7背板、第8背板の形態で識別が可能です。オス成虫メス成虫共に翅を持ちますが、飛翔することはできません。ペットとして流通することは稀ですが、実験動物として多く飼育されています。飼育の際は通年温暖な環境に置き、ケース内に紙製の卵パックや段ボールを折り曲げたものでシェルターを作り、給水器を設置し、エサ(マウスフードや昆虫ゼリーなど)を与えると飼育が可能です。卵鞘は孵化の直前まで運びます。
(文・写真: 竜洋昆虫自然観察公園 柳澤静磨)

参考文献
・旭和也・遠藤拓哉・小松謙之, 2016. ゴキブリ目. 日本直翅類学会 (編), 日本産直翅類標準図鑑. Pp. 212–215, 学研プラス, 東京.
・小松謙之・伊藤ふくお, 2023. 日本産ゴキブリ全種図鑑. 北海道大学出版会, 北海道.
・柳澤静磨, 2022. ゴキブリハンドブック. 文一総合出版. 東京.