徹底解説

マレーシアンチェリーレッドの生態と飼育方法

概要

マレーシアンチェリーレッドの生態と飼育方法についてお伝えします。
本記事を読めば、本種がどんな場所に棲息し、どのようなものを捕食しているか、現地の情報を交えながら知ることが出来ます。
また学術的な部分についても触れますので、さらに深く知りたい方も必見です。

生体の特徴

最も赤が強いオオムカデと言えます。
一般的な個体では、頭部が深紅、触角は橙色に染まり、背は赤褐色で黒い帯が入ります。
全長は25cmを超え、マレー半島では最大のムカデです。

棲息地

マレーシアンチェリーレッドは名前の通りマレーシアに棲息するオオムカデの仲間です。マレー半島のほとんど全域に棲息しています。

マレー半島は熱帯雨林に覆われており、面積の半分以上が海抜が150mを越える、山の多い地域です。
そのため本種は棲息している標高によって主に3つの呼び分けがあります。
低地産ではローランドチェリー、中標高地域産ではミッドランドチェリー、高標高産ではハイランドチェリーと呼ばれます。

一般にはハイランドチェリーが色鮮やかで美しいとされますが、逆転現象もみられるため、外見から判断することは難しいと言えます。

100m高度が上がるごとに0.6℃気温が下がります。
マレーシアンチェリーレッドは最高1500m程度の地域まで分布しているため、
海抜0m地域と比べると約9℃も低い気温で生活しています。
この違いは飼育方法にも大きく影響するため、可能な限り採集地が明確な個体を選びましょう。

現地での様子

日中ではほとんど姿を現しませんが、日没後は彼らの時間です。
低地から中標高地域では最もよく見かけるムカデです。
個体数はそれなりに多く、雨天では運転中に道路を横切る事すらあります。
樹上で見かけることも多く、木に寄りかかることは避けるべきでしょう。

現地での採集や日本への持ち帰り

マレーシアでは生物採集の許可が必要です。また保管するための飼育許可、さらに持ち帰る際に輸出許可必要です。最低3点の許可が必要となるため、一般の方にはかなりハードルが高いと言えます。(2020年1月時点)

幼体

幼体は一度見たら忘れられない体色です。頭部と触角は青藍色、背は橙色に墨黒の帯模様が入ります。
別種だと勘違いされることもしばしばあり、日本に初めて本種の幼体が輸入された際は、ムカデ愛好家の間に激震が走りました。
「この色が生涯残ったらよいのに」という声もありますが、期間限定の色というのもまた素晴らしいものです。

Scolopendra dehaani の幼体は Scolopendra arborea として記載されていた過去もあります。※出典1  現在ではシノニムとなっておりますが、幼体と成体では色形が変化する、誤解されやすい生物なのです。

飼育方法

一般的に流通するローランドチェリーの飼育方法について。
全長25cmと大型化するムカデですので、最低でも長辺25cmのケースが必要です。
市販のプラケースやクリアースライダーラージ(通気口は増設する必要がある)、レプタイルボックスで飼育が可能です。

好適温度は25-28℃程度。湿度は60-80%を保ちます。水入れは必須です。

給餌方法

イエコオロギ、クロコオロギを中心に与えます。本種はレッドローチ、デュビアはあまり好まない傾向があり、単用していると空腹にも関わらず採餌せず、知らず知らずのうちに瘦せていったり、成長不良になることがあります。

週に2-3回食べるだけ与えましょう。過食については議論がありますが、 ほとんどの方は給餌量が足りていません。まずはしっかり与えることを目標としましょう。
マレー半島には無限と言ってよいほどエサが溢れています。自然下では常に満腹状態が維持できるはずです。

本サイトではエサの販売も行っております。

道具

必ず溶接用の腕まで保護されるタイプの革手袋と27cm以上の金属製ピンセットを2本用意します。木製、竹製ピンセットはムカデが登攀しやすく、咬傷、脱走事故を招きます。

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出典

Warut Siriwut, Gregory D. Edgecombe, Chirasak Sutcharit, Piyoros Tongkerd, and Somsak Panha
A taxonomic review of the centipede genus Scolopendra Linnaeus, 1758 (ScolopendromorphaScolopendridae) in mainland Southeast Asia, with description of a new species from Laos

原記載では,Scolopendra arboreaScolopendra dehaaniの幼体に類似した色彩パターンをもつとされていました。幼体色が全く知られていなかったわけではないようです。